■大和ハウス工業株式会社 様
マルチベンダー対応可能な
ActivNetを既存システムと融合
させ、「D-Camera」を構築
業 種: | 建設業 |
概 要: | 大和ハウス工業様を訪ね、「D-Camera」を運用するにあたりActivNetを基幹システムとして採用に至った経緯や現在の活用状況などをうかがいました。 |
製 品: | ActivNet ActivCamera カスタマイズ |

[写真左から] ●株式会社インターネットイニシアティブ 中津 智史 様 ●大和ハウス工業株式会社 川勝 弘太朗 様(技術戦略部 技術戦略企画グループ 担当課長)、河野 宏 様(上席執行役員) ●株式会社Jシステム 後山 潤一(代表取締役)
■大和ハウス工業株式会社 様
マルチベンダー対応可能な
ActivNetを既存システムと融合
させ、「D-Camera」を構築

[写真左から] ●株式会社インターネットイニシアティブ 中津 智史 様 ●大和ハウス工業株式会社 川勝 弘太朗 様(技術戦略部 技術戦略企画グループ 担当課長)、河野 宏 様(上席執行役員) ●株式会社Jシステム 後山 潤一(代表取締役)
業 種: | 建設業 |
概 要: | 大和ハウス工業様を訪ね、「D-Camera」を運用するにあたりActivNetを基幹システムとして採用に至った経緯や現在の活用状況などをうかがいました。 |
製 品: | ActivNet ActivCamera カスタマイズ |
大和ハウス工業様の課題
多くの施工現場に固定カメラを設置し安全管理に活用していたが、事業部、事業所単位で機器導入とシステム化を図ってきたことから、「現場の省人化」を目指すDX化推進にあたっては統合管理面で高い障壁となっていた。情報セキュリティと企業ガバナンスの向上、見える化の加速による現場課題の解決促進が急務だった。
課題の解決
現場状況のさらなる見える化と遠隔からの施工現場管理を統合的に実現する新たなプラットホームをJシステムのActivNetをベースに構築し、顧客からの要望を反映するカスタマイズも幅広く行った。既設カメラを無駄なく活用しつつ、ActivCameraの設置も進め、全国で3500台の現場カメラをリアルタイム運用できる社内体制の整備に貢献した。
映像データのセキュリティ確保も重要な要件
後山 このたびは私どもの取材にご協力いただき、ありがとうございます。通信ネットワークの構築やクラウドサーバーの利用でご協力をいただいているIIJの中津部長にも同席していただきました。
中津 よろしくお願いいたします。
河野 弊社では建設業界における技術者・技能者の減少を喫緊の課題と捉え、「現場の省人化」をキーワードに、2019 年から「デジタルコンストラクションプロジェクト」を推進しているところです。現場管理の省人化という目標を達成するには、カメラによる遠隔管理が不可欠で、各工事現場への設置を進めていたのですが、現場ごと、事業所ごとにシステム、ベンダーがバラバラという問題点がありました。
河野宏様(大和ハウス工業株式会社 上席執行役員、ハウジング・ソリューション本部 技術統括部施工推進部長)
川勝 主に防犯用ですが、固定カメラの設置自体は、2019年以前から進んでいました。ただ、河野が申し上げたように設置の主体が事業部や事業所ごとだったため、カメラメーカーもベンダーも分散してしまい、統合管理の面で課題を残した格好になっていました。保管されている映像データには個人情報も機密情報も含まれており、セキュリティを確保する上で、会社としては全体を管理できることが必要でした。さらに、デジタルコンストラクションプロジェクトでは、遠隔管理の手法として「スマートコントロールセンター」を開設する構想もありました。
マルチベンダー対応を唯一、Jシステムが提案

川勝弘太朗様(大和ハウス工業株式会社 技術本部 技術戦略部 技術戦略第1室 技術戦略企画グループ 担当課長)
河野 そうした諸々の課題をクリアした上で完成したカメラ映像統合管理システムを社内では「D-Camera」と呼称しています。本社や全国の地区拠点に設置しているスマートコントロールセンターで、統合管理と建設現場の監視を行っています。
川勝 弊社は事業領域が広く、戸建て住宅の現場だけでなく、賃貸住宅や店舗、大型の物流施設などもあります。これらを統一する難しさは、プロジェクトのスタート時点から想定されていました。既設のカメラにもズームや広角などの機能差、性能差があり、加えて、ベンダーが異なり、それぞれに設定されている個々のIDで各システムに入る煩雑さを解消する必要がありました。いろんなベンダーと検証を重ね、セキュリティを含めた多様な要件の中で、私どもが一番やりたかった全事業統一という点に対し、Jシステムさんからベストマッチのご提案をいただいた次第です。
河野 複数の事業者さんから提案をいただき、検討しましたが、他社様からはカメラ自体の提案ばかりだったところ、システムのご提案を受けたのがJシステムさんだけだったことをよく覚えています。
後山 弊社のActivNetは「メーカー問わず、既設の他社カメラでも全部、映せますよ」という連携面に強みがあり、そこから商談が進展していきましたね。IIJさんにも中に入っていただき、ご支援をいただきました。
■ IIJ・Jシステムの提案
人・システム・資産・企業文化を熟慮したご提案
柔軟なカスタマイズ
映像資産をそのまま利用
導入後の運用もスムーズ
■ 他のカメラメーカーA社の提案
カスタマイズ不可・導入後の運用が不安…
カスタマイズ不可
高コスト
システムの切替後に混乱
IIJが2社調整のサポート役を務める
中津 デジタルコンストラクションプロジェクトが始まるずっと以前から、弊社では IT ネットワークやサーバーの提供を大和ハウス工業さんにしていました。かれこれ20年くらいのお付き合いになります。大和ハウス工業さんの IT資産 をどう構築するか、守るかという点で弊社には豊富な知見と経験があり、JシステムさんのActivNetをどう大和ハウス工業さんの求める仕様にカスタマイズするか、既存システムと融合させるかという点で橋渡し役となることができました。
川勝 IIJさんには、D-Cameraの構築の際も、検討、決定、開発、運用、保守といった導入プロセスのさまざまな段階でご支援をいただきました。
後山 当社のネットワークカメラに内蔵させる大容量のSIM カードは、IIJさんの物を以前から採用しており、D-Camera のシステム構築では大和ハウス工業さんと弊社との良き仲立ち役となっていただきました。大きく分けると、システム構築と機能のカスタマイズは弊社、運用面は IIJさんという役割分担があり、もともと意思疎通できる間柄でしたから、仕事はスムーズでしたね。
川勝 D-Cameraの運用開始以前から、定点カメラやセンサーなどで施工現場をモニタリングし、映像データを担当者や施工業者などの関係者で共有する「物件ポータルサイト」という情報サイトをIIJさんのお力で構築してあったのですが、ログインIDの統一などによって同サイトとの連携もD-Cameraではセキュアな環境下でできるようになりました。弊社のセキュリティポリシーへの対応をはじめ、事業部ごとの要望に合わせたマルチビューの実現やカスタマイズ、弊社オリジナルカメラの開発など、JシステムさんとIIJさんには多くのご尽力をいただきました。
中津智史様(株式会社インターネットイニシアティブ プロフェッショナルサービス第一本部デジタルイノベーション部長)
全国で3500台のカメラ映像を統合管理

大和ハウス工業本社 技術本部に設置されているスマートコントロールセンター。全国の施工現場のリアルタイム映像を任意に映し出すことができる
後山 D-Cameraの現在の活用状況について、あらためてお聞かせください。
川勝 現場関係者の施工情報の共有や業務の効率化を目的に、全国の施工現場に約 3500 台の定点カメラを設置するとともに、 施工担当者全員が業務で利用しているスマートフォンやタブレット端末にて、リアルタイムな映像情報の確認ができるようになって います。映像データは、スマートフォンなどで一部の協力会社様にも見ていただけるようにしており、多くの技能者を抱えている協力会社様からも、現場が安全か、工事が予定通り進んでいるか、映像でチェックできる点が喜ばれています。一例ですが、資材を積んだトラックが現場に入るタイミングもリアルタイムに映像で確認できます。先に現場に入っているトラックが出て行った直後に、次のトラックがタイムリーに入場でき、電話でやり取りをする負荷を省けるようになりました。また、クラウドに蓄積したデータは、安全管理の事例研究や技能教育にも役立てています。
河野 D-Cameraは、今はあって当たり前のものになっていますね。私も協力会社の皆さんから「いいよね」と直接言っていただける機会が多くあります。機能の拡張やアップデートによって今後も仕事の仕組みを変えていければ、システムの価値はもっと上がっていくと考えています。
Jシステムは建設工事現場にも精通
中津 現場サポートという面でもJシステムさんならではのものがありますね。
川勝 建設現場をよく理解されており、カメラや電源ケーブルの配置設計や設置方法の選択も現場にアジャストしていて、他のベンダーとはひと味もふた味も違います。現場で不具合があれば、すぐに対応していただけ るほか、工事担当者や技能者からの細かな要望にもいろいろなアイデアで対応いただいており、とても助かっています。
後山 潤一(株式会社Jシステム代表取締役)
後山 ID、パスワードの定期的な変更も実施し、組織変更や人事異動にも対応しています。弊社はネットワークカメラでは後発でしたので、カメラ機能の進化、セキュリティ要件の厳格化を視野に入れて ActivNetの開発を進めました。情報セキュリティ、クラウドセキュリティに関係するISOや個人情報保護のPマークも怠ることなく取得しています。
中津 顔認証、指紋認証など、現場への入退場時に個人を特定できる技術の導入が今後の検討材料ですね。
法令や気象変化も見据え、技術進化を継続
後山 大和ハウス工業さんで今後、弊社に期待されていることがあれば、お聞かせください。
河野 Jシステムさんは建設系の民間企業のほか、国や自治体のお仕事も数多くされていて、多くの経験値とデータをお持ちです。D-Cameraの今後の機能拡張にお持ちの知見を活かしていただければありがたいですね。
後山 気象観測センサーを付属させた「ActivWeatherMix」や、通話機能を有したウェアラブルライブカメラ「ActivCompact」もサービスラインナップに揃えており、ご活用いただければ幸いです。
中津 大和ハウス工業さんでは、2024年3月に大東建託さんと「災害における連携及び支援協定」を結ばれています。大東建託さんもJシステムさんのActivNetを導入されているので、災害発生時にプラットホームを共有した情報連携ができるといいかもしれませんね。
河野 2024年6月の建設業法の改正により、現場の遠隔監視などのデジダル化を前提に、「工事現場における主任技術者の専任」「工事現場における監理技術者の専任」といったアナログ規制が緩和されました。法改正前には、国土交通省の職員が弊社東京本社のスマートコントロールセンターを訪れ、建設DXの現状を視察していました。
後山 デジタル技術の高度化と普及の加速により、一定レベル以上の建設DX推進企業では専任規制がそう遠くない将来に撤廃される可能性が高くなっています。弊社としてもそうした時にお役に立てるよう、法令や国の施策を注視しつつ、技術的な進化に今後も継続して取り組んで参ります。
川勝 屋外はもちろん、屋内の遠隔監視の拡充も安全管理面で今後は必要です。先ほど中津さんがご指摘されていましたが、顔認証など防犯上の機能拡張もD-Cameraの今後の課題です。
後山 施工現場の遠隔監視は建設業界で急速に浸透しており、映像活用がコモディティ化する中で、映像プラスアルファの拡張性が重要だと私どもも認識しています。例えば、近年は夏の酷暑が現場技能者の健康や作業効率をおびやかすリスクとなっています。現場の気温変化や作業員の体温感知、通知の発信といった機能が求められるでしょう。省人化のみならず、防犯・防災といったリスク回避も建設DXの一環と捉え、大和ハウス工業さんのデジタルコンストラクションプロジェクトにより一層貢献していければと考えております。